第3号被保険者とは?条件と年金額
公的年金制度の第3号被保険者について、分かりやすく解説します。
第3号被保険者は、年金保険料を納付しなくても済み、しかも国民年金保険料を納付したものとみなされるメリットがありますが、手続きが必要なので忘れないでください。
第3号被保険者とは?
次の3つの条件全てを満たすと、公的年金制度の第3号被保険者となります。
- 第2号被保険者の配偶者である
- 20歳以上60歳未満である
- 自身が第2号被保険者の加入条件を満たしていない
配偶者とは、結婚相手のことを意味しますが、その通り、主婦でも主夫でも第3号被保険者になれ、戸籍謄(抄)本などの書類があれば、事実婚や内縁関係でも第3号被保険者になれます。
また、国籍要件と国内居住要件も問われないので、結婚相手が外国人でも、結婚相手が海外にいても、第3号被保険者になれます。
第3号被保険者になれるパートの条件
「夫は会社員、妻はパート」という家庭は珍しくありませんが、その場合、主婦がパートとして稼ぎすぎると、自身が第2号被保険者となり、厚生年金保険料を納付しなければならなくなります。
しかも、健康保険にも加入しなければなりません。
勤務時間・勤務日数が常用雇用の4分の3以下の労働者で、次の5つの条件全てを満たした場合、パートは社会保険への加入が義務付けられます。
106万円の壁
- 勤務時間が週20時間以上
- 1ヶ月の賃金が8万8000円以上(年収106万円以上)
- 雇用期間が1年以上の見込み
- 従業員が501人未満の事業所で働いている
- 学生ではない
つまり、この条件のひとつでも崩せば、第3号被保険者になれるのです。
ちなみに、以前は、「130万円の壁」と言われていましたが、今は「106万円の壁」になりました。
厚生年金保険への加入条件はだんだん下がっており、さらにハードルを下げることが検討されています。
第3号被保険者の加入手続き
第2号被保険者と結婚した配偶者は、20歳以上60歳未満で、自身が第2号被保険者でなければ、第3号被保険者になれます。
しかし、結婚しただけではダメで、手続きが必要です。
その届出が、『国民年金 第3号被保険者関係届』で、これを健康保険の『被扶養者(異動)届』などと一緒に、配偶者が働いている会社等に提出してください。
期限は、扶養されることになった日から14日以内です。
第3号被保険者の保険料と年金額
第3号被保険者は、年金保険料を納付する必要はありません。
しかも、国民年金保険料を納付したと見なされるので、老齢・障害・遺族に対して、国民年金の給付を受けられます。
国民年金だけなので支給額は少ないですが、1円も負担せずに第1号被保険者と同じ年金額を受け取れるのは、かなりのメリットです。
さらに、離婚した際は、婚姻期間の老齢厚生年金を按分受給できます。
以前は、離婚しても老齢厚生年金はそのまま一方に支給されていましたが、公平性を疑問視され、2007年4月1日から婚姻期間分を按分することに法改正されました。
結婚していても第3号被保険者の資格を喪失する場合
「離婚した場合」「第2号被保険者が退職した場合」「第2号被保険者が亡くなった場合」「第3号被保険者が収入条件を超えた場合」は、当然に、その配偶者は第3号被保険者ではなくなります。
しかし、結婚していても第3号被保険者ではなくことがあります。
第2号被保険者が年上で、「65歳に達する」か「老齢基礎年金の受給資格を満たす」と第2号被保険者ではなくなるため、その配偶者である第3号被保険者もその資格を失うのです。
いずれにしても、第3号被保険者でなくなった場合は、第1号被保険者になる手続きをしてください。
そして、国民年金保険料の納付が必要となります。
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