国民年金基金とは?加入のメリット・デメリット
大人であればすべての人が国民年金という言葉を聞いたことがあるはずですが、それと似た「国民年金基金」という言葉を聞いたことがありませんか?
「ああ、たまにテレビCMで宣伝しているやつか!」と思った人も多いはず。
しかし、実際に理解しておらず、「国民年金基金とは何か?」を説明できる人は少ないと思います。
一部の人のところには、加入を勧める封筒も届いていますが、内容も見ずに捨てている人が多いでしょう。
そこで、この国民年金基金とは何かをわかりやすく説明いたします。
この機会に国民年金基金について理解し、得する人は加入を検討してください。
国民年金基金とは?
国民年金基金とは、第1号被保険者が老齢基礎年金に上乗せできる制度です。
第2号被保険者(会社員・公務員)は国民年金と厚生年金保険に加入しているので、老後に老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つを受け取れ、比較的安定した生活を送れます。
また、その配偶者である第3号被保険者は、保険料を負担しなくても老後に老齢基礎年金を受給でき、夫婦もう一方の老齢基礎年金・老齢厚生年金もあるので安泰です。
しかし、第1号被保険者は、老後に老齢基礎年金しかもらえません。
老齢基礎年金の支給額は、満額でも月額6万5000円です。
月額6万5000円で生活できるわけないですよね。
そこで、国民年金基金の登場です。
国民年金保険料の他、国民年金基金の掛金を納付することにより、老後により多くの年金をもらうことができるようになります。
国民年金基金に加入するメリット
国民年金基金に加入すると、次のメリットがあります。
- 収入に合わせて掛金を自分で決められる
- 払った掛金は、社会保険料控除の対象となる
- 老後の年金受給額が増える
- 国民年金基金の年金も公的年金等控除の対象なので、税金が安くなったり、無税となる
つまり、収入がそれなりにある第1号被保険者は、国民年金基金の掛金を払うことにより、節税効果を得られると同時に、将来の年金額も増やせるため、国民年金基金に加入した方が得なのです。
国民年金基金に加入するデメリット
国民年金基金に加入すると、次のデメリットがあります。
- 国民年金保険料に加え、国民年金基金の掛金もすべて自己負担しなければならない
- 一度加入すると自己都合で任意脱退できない
- 年金が支給される前に亡くなると、遺族一時金しか支給されない
- 国民年金基金が破綻したら損する
第2号被保険者の厚生年金保険料は、労働者と会社の折半負担ですが、国民年金基金はすべて自己負担なので、納付する金額が大きくなるのが難点です。
そして、国民年金基金は任意脱退できないため、加入する時の収入だけではなく、今後の収入も考慮しなければなりません。
国民年金基金と付加年金の関係
国民年金基金とほぼ同じ制度として、付加年金があります。
どちらも第1号被保険者が老齢基礎年金に上乗せできる制度のため、両方に加入することはできません。
したがって、「付加年金加入者が国民年金基金に加入したら、付加保険料を納付できなくなる」「国民年金基金の加入者は付加保険料を納付できない」と定められています。
一方にしか加入できないので、どちらに加入すれば良いか迷うでしょう。
付加年金は、2年で納付した額を回収できる非常に有利な年金ですが、月額400円しか納付できません。
しかし、国民年金基金は自由に掛金を決められます。
このことから、今後も収入が多い方は国民年金基金に加入し、そうでない方は付加年金に加入すると良いでしょう。
国民年金基金への加入資格
国民年金基金に加入できる者は、次のとおりです。
国民年金基金加入資格者
さらに、次の条件も満たさなければなりません。
- 地域型基金の場合、その都道府県居住者
- 職能型基金の場合、その職業に従事している者
ただし、国民年金保険料の免除を受けている者、滞納者、及び付加年金に加入義務がある農業者年金の被保険者は、上記の条件を満たしても国民年金基金に加入できません。
国民年金基金への加入方法
国民年金基金に加入するには、国民年金基金のウェブサイトを表示し、上部にある「手続きの流れを見る」をクリックします。
移動先ページで「資料請求はこちら」をクリックすると、「地域型基金」と「職能型基金」の2つのリンクがあるので、ご希望の基金を選択してください。
地域型基金とは、都道府県単位で運営されている国民年金基金なので、その都道府県に居住している人を対象としています。
職能型基金とは、「日本弁護士、公認会計士、日本医師・従業員、全国個人タクシー、日本クリーニング業」など、その職業に就いている人を対象としています。
以上の違いだけで、内容は全て同じです。
「資料請求ページ」で個人情報を入力して送信すると『加入申出書』が郵送されてくるので、これに記入して返送し、問題がなければ国民年金基金への加入が認められます。
掛金の引き落としは、加入の2ヶ月後からです。
国民年金基金の資格喪失
国民年金基金の加入者が次のいずれかに該当した場合、その資格を喪失します。
- 第1号被保険者が60歳に達したとき
- 任意加入被保険者が65歳に達したとき
- 就職したとき
- 結婚して第3号被保険者になったとき
- 地域型基金の加入者が他の都道府県に引っ越したとき
- 職能型基金の加入者が他の業種に転職したとき
- 国民年金保険料の免除を受けたとき
- 農業者年金の被保険者になったとき
- 国民年金基金の加入者が亡くなったとき
国民年金基金は任意脱退できないため、どうしても脱退したい場合は、上記の資格喪失要件に該当するしかありません。
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