老後2000万円問題の内訳・根拠は?金融庁に続き経産省も

2019年6月3日に、金融庁が、「老後に2000万円足りない」という報告書を出して大騒ぎとなりました。
「老後2000万円問題」の真相に迫りました。
「老後2000万円問題」とは?
2019年6月3日に、金融庁が発表した報告書『高齢社会における資産形成・管理』が事の発端です。
この報告書に、「老後に2000万円不足」と書かれてあったのです。
「100年安心」を謳っていた日本の年金制度が崩壊したとして、国会やマスコミで取り上げられるようになり、大騒ぎとなりました。
これが、「老後2000万円問題」です。
老後に2000万円足りなくなる内訳・根拠
金融庁が発表した報告書は、次の条件で、試算しています。
- 高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)が95歳まで生きることを想定
- 毎月の収入は約21万円、支出は約26万円で、毎月約5万円の赤字
- 「約5万 X 12ヶ月 X 30年 = 約2000万円」で、老後に約2000万円不足する
報告書には、「老後に2000万円足りないから、若いうちから資産運用が必要」と書いてあるのです。
安倍首相・麻生金融担当大臣の対応
「老後2000万円問題」で大騒ぎとなると、野党が国会で追求しました。
安倍首相は、小泉政権下で自民党幹事長を務めていた2004年に、年金を「100年安心」とアピールしていた重要人物です。
安倍首相は、野党の激しい追及に逆ギレしながらも、「年金100年安心は確保されている」と言い張りました。
一方、麻生金融担当大臣は、「生活費として不足というような表現は不適切」と金融庁の報告書を批判し、報告書を正式に受け取らないことを明言しました。
ここで問題なのは、二人共大金持ちで、庶民の気持ちや立場が分からないことでしょう。
実際、麻生金融担当大臣は、国会で自身の年金について聞かれた際、「秘書に任せている。任すと言った以外、正確な記憶がない」と発言しています。
それもそのはずで、麻生金融担当大臣は、高祖父・大久保利通、祖父・吉田茂、岳父・鈴木善幸など有名な先祖がいっぱいいるロイヤルファミリーの一員で、実家はセメント事業や病院などを経営する『麻生グループ』のため、生まれた時から超お金持ちなのです。
したがって、年金がなくても全く生活に困りません。
安倍首相も、祖父・岸信介、大叔父・佐藤栄作で、麻生金融担当大臣とは親戚関係にあり、資産も約1億円です。
そんなお金持ちが、年金制度を決めています。
経産省が「老後資金に2900万円不足」と発表
安倍首相と麻生金融担当大臣が、「老後2000万円問題」を批判し、「年金100年安心」と訴えましたが、経産省も「老後資金に2900万円不足」という資料を発表しました。
これは、2019年4月15日に開催された経産省の『産業構造審議会 2050経済社会構造部会』の資料3に記されています。
ウェブサイトで確認・ダウンロードできるようになっていますが、修正を理由に、一時、閲覧できないようになっていました。

この『資料3』によると、2018年に65歳を迎える夫婦世帯で老後期間が30年間の場合、公的年金収入から生活費を差し引くと、2895万円不足と記されているのです。
老後に2000万円必要なのか?
金融庁と経産省が、老後に2000万円以上不足と訴えているので、心配になる人は多いことでしょう。
この「老後2000万円問題」について、政治家も年金のプロも意見が分かれています。
ただし、確実なのは、試算が「厚生年金保険加入者とその妻から成る夫婦」をモデルにしているため、個人事業主・フリーターなどの第1号被保険者や、厚生年金保険加入者でも独身者は、老後にお金で苦労する可能性が高いということです。
特に、第1号被保険者は、老齢基礎年金しかもらえないので、生活保護を受けないと生活できません。
生涯独身者は増えていますし、自民党が非正規雇用を増やしたので、多くの日本人が老後にお金で困るでしょう。
こう聞くと、何とかしなければと焦り、金融庁が促しているとおり資産運用に手を出す人がいると思いますが、安易に投資に手を出すと大損するので気を付けてください。
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