遺族厚生年金の金額と中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算
遺族厚生年金の金額についてお知らせします。
遺族厚生年金は、制度の性質上、年金額が低くなる妻を救済する加算が行われるのが特徴です。
遺族厚生年金の金額
遺族厚生年金の金額は、報酬比例の年金額 X 3 / 4で算出します。
この報酬比例の年金額は、老齢厚生年金と同様に計算した額です。
報酬比例部分を計算するときに、短期要件に該当する場合は定率を使用し、長期要件に該当する場合は生年月日に応じて乗率が読み替えられます。
また、短期要件の場合、被保険者期間の月数が300に満たないときは、総報酬制導入前・後の期間におけるそれぞれの年金額を算出し、その額と、300を全体の被保険者期間の月数で除して得た数を乗じます。
長期要件の場合は、実期間で計算します。
なお、受給権者が複数いる場合、各々が受け取る額は、総額を受給権者の数で除して得た額です。
端数処理については、一人一人の額について行います。
遺族厚生年金額の改定
配偶者以外の者に支給される遺族厚生年金額の金額は、受給権取得後、受給権者の数に増減が生じたときに、その翌月から改定されます。
なお、受給権者の数が増えるのは、胎児が生まれたときのみです。
中高齢寡婦加算とは?
妻が、次のいずれかに該当する場合は、遺族基礎年金が支給されません。
そこで、その妻の保護を目的として、遺族厚生年金で加算が行われます。
これが、中高齢寡婦加算です。
長期要件の遺族厚生年金が支給されるときは、夫の被保険者期間の月数が240以上(中高齢期間短縮特例該当者はその期間以上)あることが必要です。
- 夫が死亡した当時35歳以上65歳未満であって、遺族基礎年金の加算対象となっている子(要件を満たしている子)がいないために遺族基礎年金の支給を受けられない妻に対し、40歳から65歳に達するまでの間、加算が行われます。
- 35歳に達した当時、妻に要件を満たす子がいるために、遺族基礎年金を受給できていても、その子が18歳に達する最初の3月31日が終了したとき(障害等級1級・2級に該当する障害を有する場合は20歳に達したとき)、遺族基礎年金は支給されなくなります。その場合は、40歳から65歳に達するまでの間、中高齢の加算が行われます。
経過的寡婦加算とは?
中高齢寡婦加算は、妻が65歳になって自分の老齢基礎年金の受給権を取得すると、支給されなくなります。
これは、中高齢寡婦加算が、遺族基礎年金を受給できない妻を救済するために支給されるものだからです。
しかし、妻が昭和61年4月1日前に国民年金に任意加入していなかった場合、65歳まで支給を受けた中高齢寡婦加算よりも、65歳から支給される老齢基礎年金の金額の方が低下してしまいます。
これを防止するために、65歳以後も遺族厚生年金に一定額の加算が行われます。
これを経過的寡婦加算と言います。
なお、経過的寡婦加算を受けるには、次の要件をすべて満たさなければなりません。
- 昭和31年4月1日以前に生まれた者であること
- 中高齢寡婦加算の要件を満たしていた遺族厚生年金の受給権者であり、65歳に達した者、または、遺族厚生年金の受給権を取得した当時65歳以上であった者であること
関連記事
遺族基礎年金の金額は、老齢基礎年金の支給額と同額です。 したがって、2024年度の遺族基礎年金の金額は、年額816,000円...
支給要件を満たした第2号被保険者等が亡くなると遺族厚生年金が支給されますが、実際には、遺族も要件を問われます。 そのた...
遺族年金は、公的年金制度の三本柱のひとつです。 国民年金の場合、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者もしくは...
遺族厚生年金の受給権者が、以下のいずれかに該当した場合、その支給が停止されます。 労働基準法による遺族補償を受けられる...
第2号被保険者が亡くなった場合、遺族厚生年金が支給されます。 また、一定の条件を満たせば、現在は厚生年金保険の被保険者...